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電気工事業者の登録・届出について
投稿日 2021年8月16日 最終更新日 2024年10月25日
電気工事については、電気工事士免状などの交付を受けたものでなければ、一定の工事に直接従事することはできません。また、電気工事業を行おうとする者は、請け負う工事の金額の大小にかかわらず、営業所の所在地を管轄する都道府県知事(又は大臣)の登録を受ける必要があります。
これらの規制は、電気工事の欠陥による災害の防止、電気工作物の保安の確保などを目的とした電気工事二法(電気工事士法、電気工事業法)により規定されており、電気工事業者が建設業法に基づく建設業の許可を取得した場合にも及びます。
1.電気工事の作業に従事する者の資格と従事できる工事範囲
資格等が必要となる工事 | 必要な資格等 |
一般用電気工事 | 第一種電気工事士免状(※1)又は第二種電気工事士免状 |
自家用電気工事 (特殊電気工事除く) | 第一種電気工事士免状 |
特殊電気工事 | 特殊電気工事資格者認定証 |
簡易電気工事 | 第一種電気工事士免状又は認定電気工事従事者認定証 |
※1.第一種電気工事士は、5年ごとに、自家用電気工作物の保安に関する講習を受講する義務があります。また、上記の資格者が電気工事の作業に従事するときは免状や認定証を携帯しなければなりません。
- 一般用電気工作物
600Ⅴ以下の電圧で受電し、その受電場所と同一の構内で電気を使用する電気工作物。一般家屋や商店等の屋内配線設備、太陽光発電システム等の小出力発電設備(50kW未満)などの電気工作物が該当します。 - 自家用電気工作物
電気事業法に規定する自家用電気工作物のうち、最大電力500kW未満の需要設備をいい、一般的には、中小ビルの需要設備などの電気工作物が該当します。
- 特殊電気工事
自家用電気工事のうち、ネオン・非常用予備発電装置に係る電気工事をいいます。認定証は、特殊電気工事の種類ごとに経済産業大臣が交付します。
- 簡易電気工事
自家用電気工事のうち、600Ⅴ以下の部分の電気工作物に係る電気工事をいい、経済産業大臣から第一種電気工事士免状又は認定電気工事従事者認定証の交付を受けているものでなければその作業に従事することはできません。
認定電気工事従事者やそれぞれの資格で従事できる工事の範囲については、こちらが参考になります。 ☞「認定電気工事従事者」という資格をご存じですか! (一財)電気工事技術講習センター
2.電気工事業者の登録・通知・届出
電気工事業者は、施工する電気工作物の種類と建設業許可の有無により、4とおりの電気工事業者に分類されます。なお、表中の登録の申請先、開始の通知先、開始の届出先は都道府県知事(営業所が複数の都道府県にまたがる場合は経済産業大臣)となります。変更や廃止の手続き(変更・廃止の日から30日以内)の場合も同様です。
なお、手続きが完了した電気工事業者は、申請先・通知先・届出先以外の都道府県のどこでも電気工事を行うことができます。
- 登録電気工事業者
一般用電気工事のみを施工する事業者、又は一般用及び自家用電気工事を施工する事業者は、知事又は大臣に対し登録の申請が必要です。登録要件として主任電気工事士(※2)の配置が求められます。また、5年毎に登録の更新が必要です。
- 通知電気工事業者
自家用電気工事のみを施工する事業者は、知事又は大臣に対し開始の通知が必要です。
- みなし登録電気工事業者
建設業法の許可を受けた建設業者(許可業種を問いません)であって、一般用電気工事のみを施工する事業者、又は一般用及び自家用電気工事を施工する事業者は、知事又は大臣に対し開始の届出が必要です。主任電気工事士(※2)の配置も求められます。5年毎の更新は不要ですが、建設業法の許可を更新する場合や一定の変更をする場合は都度みなし登録電気工事業者としての届出が必要です。
- みなし通知電気工事業者
建設業法の許可を受けた建設業者であって、自家用電気工事のみを施工する事業者は、知事又は大臣に対し開始の通知が必要です。
登録電気工事業者や通知電気工事業者であっても500万円以上の工事をする場合には、新たに建設業の許可を取得する必要があります。この場合も、みなし登録開始の届出やみなし通知開始の通知が必要です。詳しくは、弊所HP「みなし登録電気工事業者の開始の届出について」をご覧ください。
※2.登録電気工事業者(みなし登録電気工事業者)は、一般用電気用工事の業務を行う営業所ごとに、一般用電気工事の作業を管理させるため、第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けた後電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士を主任電気工事士として配置しなければなりません。
3.電気工事業者の責務(主なもの)
- 主任電気工事士の配置(一般用電気工事)
- 電気工事士でない者を電気工事の作業に従事させることの禁止
- 請け負った電気工事を電気工事業者でない者に請負わせることの制限
- 器具の備付け(営業所ごとに省令で定める器具を備えること)
【一般用電気工事のみの業務を行う営業所】
絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗及び交流電圧を測定することができる回路計
【自家用電気工事の業務を行う営業所】
絶縁抵抗計、接地抵抗計、抵抗及び交流電圧を測定することができる回路計、低 圧検電器、高圧検電器、継電器試験装置、絶縁耐力試験装置(継電器試験装置及 び絶縁耐力試験装置は、必要なときに使用し得る措置が講じられているものを含 みます。) - 標識の掲示
営業所及び電気工事の施工場所ごとに、見やすい場所に掲示します。(みなし登録(通知)電気工事業者の場合も建設業者の標識とは別に掲示します。) - 帳簿の備付け(営業所ごとに帳簿を備え、5年間保存)
4.電気工事業者の登録等の手続き(大阪府で登録電気工事業者の新規登録をする場合)
大阪府の場合、申請先は「大阪府電気工事工業組合本部(大阪市北区)」となります。
(窓口持参。電子申請・郵送等による受付はありません。)
申請書類、添付書類・確認書類等 | 法人 | 個人 | 備考 |
●登録申請書(様式第1 第2条) | 〇 | 〇 | |
●誓約書 | 〇 | 〇 | 法人用、個人用 |
●主任電気工事士等にかかわる書類 《第一種電気工事士免状の場合》 ・第一種電気工事士免状の写し(講習受講記録も含む) 《第二種電気工事士免状の場合》(※3) ・第二種電気工事士免状の写し ・主任電気工事士等実務経験証明書 | 〇 | 〇 | |
●主任電気工事士の雇用(在職)証明書 | 〇 | 〇 | 主任電気工事士を雇用する場合のみ(※4) |
●履歴事項全部証明書 | 〇 | 3か月以内のもの | |
●手数料22,000円 | 〇 | 〇 | 現金持参 |
※3.※第ニ種電気工事士が認定電気工事従事者認定証を取得している場合は、認定書のコピーを添付することで600V以下の自家用電気工作物の作業を行うことができます。
※4.申請者(法人の場合は役員のいずれか)が主任電気工事士になる場合は不要です。