建設業
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主任技術者、監理技術者の設置が求められる工事とは?
投稿日 2021年9月29日 最終更新日 2022年9月23日
建設業者は、建設工事の適正な施工を確保するため、実際に施工を行っている工事現場に一定の資格・経験を有する技術者を配置して施工状況の管理・監督を適正に行なわなければなりません。
現場に配置する技術者は主任技術者が原則ですが、建設工事の種類、請負金額、施工における立場(元請か下請けか)など条件によっては監理技術者を配置しなければならない場合があります。
1.主任技術者・監理技術者に必要な資格について
主任技術者・監理技術者に必要な資格や実務経験については、建設業許可の営業所の専任技術者と同じです。
- 主任技術者 ~ 一般建設業の専任技術者の資格を有するもの。
- 監理技術者 ~ 特定建設業の専任技術者の資格を有するもので、国土交通大臣から「監理技術者資格者証」の交付を受け、同大臣の登録を受けた講習を受講した者のうちから選任することになっています。なお、資格者証の有効期限は5年で、更新することができます。
2.主任技術者・監理技術者に「専任」が求められる工事
一定の公共性のある施設等又は多数のものが利用する施設等に関する重要な施設工事については、工事現場ごとに専任のものを配置する必要があります。この重要な施設工事とは、個人住宅以外のほとんどの工事が該当し、工事1件の請負代金の額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上のものとされています。なお、ここでいう「専任」とは、他の工事現場の職務の兼務をせず、常時継続的に当該工事現場の職務のみに従事することを意味するものであり、必ずしも当該工事現場への常駐を必要としていません。
特例監理技術者について
特例監理技術者とは、監理技術者の配置が必要な複数の工事(2 つまで)現場を 1 人の監理技術者が兼務する状態を言います。発注者から直接建設工事を請負った特定建設業者が、次の要件を満たした「監理技術者補佐※」を工事現場に専任で置くときに認められます。
※主任技術者の要件を満たし、令和 3 年度に改正される 技術検定の1級第1次検定に合格した「1級施工管理技士補」の有資格者又は 一級施工管理技士等の国家資格者、学歴や実務経験により監理技術者の資格を有する者
3.建設工事の種類及び請負金額等による区分
監理技術者の配置が求められる建設工事の種類・請負金額・下請金額等を整理すると以下のようになります。
4.主任技術者・監理技術者で兼任が認められる場合とは
- 専任が求められていない工事現場に配置された主任技術者
- 専任が求められる工事であっても例外的に兼務が認められる主任技術者
①密接な関係のある2以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接(概ね10㎞程度以内)した場所において施工する場合。
※監理技術者には認められていません。
②同一又は別々の発注者が、同一の建設業者と締結する契約工期の重複する複数の請負契約に係る建設工事であって、かつ、それぞれの工事の対象となる工作物等に一体性が認められる場合。
※複数工事に係る下請金額の合計が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上の場合は、特定建設業の許可と監理技術者が必要です。 - 営業所の専任技術者との兼任
営業所の専任技術者は、営業所に常勤し専任でその職務に従事することが求められていますが、以下の①~④全ての要件を満たした場合には、当該現場工事の専任を要しない主任技術者又は監理技術者になることができます。
①当該営業所において請負契約が締結された建設工事であること。
②両方の職務に従事しうる程度に営業所と工事現場が近接していること。
③当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあること。
④所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること。
5.主任技術者・監理技術者に求められる雇用関係
建設工事の適正な施工を確保するため、主任技術者や監理技術者は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です。行政庁がこの雇用関係を確認する場合は、事業者名の記載されている健康保険被保険者証、雇用保険被保険者資格取得確認等通知書、監理技術者にあっては監理技術者証、その他公的機関の発行した書類などが求められることになります。