建設業
CCUS
CCUS(建設キャリアアップシステム)とは?
CCUS(建設キャリアアップシステム)は、建設業に従事する技能者(職人)のための制度です。建設業に従事する技能者は、現場を渡り歩くことが多く、どんなに素晴らしい技能や経験を有していても、それらを客観的に把握・可視化するしくみが無いため、スキルアップが処遇向上につながりにくいという課題がありました。また、将来のキャリアパスが見通しにくいため、若年入職者の確保・育成が困難とされてきました。
CCUSは、技能者一人ひとりの経験や技能(取得資格や講習受講記録を含む)をシステム内に一元的に蓄積し業界統一のルールで目に見える形にするため、官民一体で構築した制度です。最終的には、蓄積された情報をもとに、それぞれの技能者が適切に評価され処遇改善に結びつけられるようにすることや人材育成に努め優秀な技能者を抱える事業者の施工能力を”見える化”することが目的です。
2019年から本格運用が始まり、2023年4月にはすべての技能者が登録することを目指しています。2021年10月末現在の技能者登録数は73万人(技能労働者の総数324万人/2019年総務省調べ)と伸び悩んでいますが、今後は、公共工事や大手ゼネコン工事などを中心にCCUSの活用が進み、それらと併行して登録者数も加速化するものと予想されます。
1.CCUSの仕組み
- 技能者情報等の登録・カードの交付
システムの利用に当たり、技能者は、本人情報(住所、氏名等)、社会保険加入状況、建退共手帳の有無、保有資格、研修受講履歴などを登録します。事業者は、商号、所在地、建設業許可情報を登録します。登録により、技能者には、ICカード(キャリアアップカード)が配布されます。 - 現場での読取り
現場を開設した元請事業者は、現場情報(現場名、工事内容等)をシステムに登録し、技能者は現場入場の際、現場に設置されたカードリーダー等でキャリアアップカードを読み取ることで、「誰が」「いつ」「どの現場で」「どのような作業に」従事したのかといった個々の技能者の就業履歴がシステムに蓄積される仕組みとなっています。 ※国土交通省「建設キャリアシステムの利用手順」 - 技能者の能力評価
システムに蓄積された情報をもとに、専門工事団体等が職種別に策定した能力判定基準によりレベル判定をおこないます。判定レベルは4段階で下記のとおりとなります。
レベル | カードの色 | レベルの目安(各専門団体の基準による) |
レベル1 | ホワイト | 初級技能者(見習いの技能者) |
レベル2 | ブルー | 中堅技能者’(一人前の技能者)就業日数3年以上 |
レベル3 | シルバー | 職長として現場に従事できる技能者 就業日数7年以上 |
レベル4 | ゴールド | 高度なマネジメント能力を有する技能者(登録基幹技能者等)就業日数10年以上(職長としての就業日数3年以上) |
2.CCUSの能力判定基準とレベル判定について
能力評価(レベル判定)の手続は、各専門工事団体等において、レベル判定の審査を行ないます。35の職種ごとにレベル1~4の判定条件が異なりますので下記(国土交通省HPにリンクされています)を参照してください。
- 35職種の能力評価基準
電気工事 橋梁 造園 コンクリート圧送 防水施工 トンネル 建設塗装 左官 機械土工 海上起重 PC 鉄筋 圧接 型枠 配管 とび 切断穿孔 内装仕上 サッシ・カーテンウォール エクステリア 建築板金 外壁仕上 ダクト 保温保冷 グラウト 冷凍空調 運動施設 基礎ぐい工事 タイル張り 道路標識・路面標示 消防施設 建築大工 硝子工事 ALC 土工
3.CCUSの登録申請方法
申請方法にはインターネット申請と窓口(認定登録機関※要予約)申請の2種類の方法がありますが、ここではインターネット申請について説明します。
登録は、「事業者登録」→「技能者登録」の順に行います。一人親方の場合は、事業者情報と技能者情報の両方の登録が必要です。
事業者登録では登録完了後に登録料を、技能者登録では登録前に利用料金を払込みます。登録機関による審査終了後1~3か月後に、事業者には「事業者ID」と「監理者ID」が、技能者には「技能者ID」と「登録カード」がメールと郵送で送付されてきます。
※詳しい申請の手順については、一財)建設業振興基金のHP「建設キャリアアップシステム」に掲載されている手引書を参照してください。
なお、申請にあたり必要となる書類は以下のとおりとなります。インターネット登録申請の場合は、各証明書を電子データ(JPEG)に変換してシステムにアップロードして下さい。
- 事業者登録に必要なもの(インターネット申請の場合)
事業者確認用書類 | ■建設業の許可を受けている場合 「建設業許可証明書」又は「建設業許可通知書」 ■建設業許可がない法人の場合 「事業税の確定申告書」又は「納税証明書と履歴事項全 部証明書」 ■建設業許可がない個人事業主、一人親方の場合 「個人事業の開始届」又は「納税証明書」又は「所得税 の確定申告書」 |
社会保険加入証明書類 | ■健康保険加入証明書類 ■年金加入証明書類 ■雇用保険加入証明書類 ■その他(建退共・労災保険等)加入証明書類 |
登録申請の料金 | ■事業者登録料(5年ごと) 一人親方0円、一人親方以外の個人事業主6,000円 資本金500万円未満6,000円、資本金500万円以上1,000万円未満12,000円、・・・・資本金500億円以上240万円※詳しくは建設業振興基金のHP「利用料金」参照 ■管理者ID利用料(1人当たり/1年ごと) 11,400円(一人親方の場合は2,400円) |
現場利用料 | ■1回(1人日・現場あたり)10円 ※毎月元請事業者へ請求 |
その他必要なもの | ■元請事業者は、以下を準備して現場に設置 ①就業履歴蓄積アプリ「建レコ」 ②建レコをインストールする機器(パソコン、iPad等) ③インターネット接続環境 ④カードリーダー |
※事業者情報以外の情報(例:社員名など)が記載されている場合はマスキングが必要。
- 技能者登録に必要なもの(インターネット登録の場合)
技能者登録にはⒶ「簡略型登録」とⒷ「詳細型登録」2つの登録方式があります。 Ⓐ「簡略型登録」では、氏名や現住所、社会保険、建退共制度への加入の有無などを登録します。 Ⓑ「詳細型登録」では、技能者のレベル判定システムに必要な保有資格や健康診断の受診履歴などを登録します。 なお、Ⓐ「簡略型登録」で技能者登録完了後に、利用者の任意のタイミングでⒷ「詳細型登録」への移行も可能です
全員が必ず添付 | ■本人確認書類(写し) 日本国籍「マイナンバーカード」又は「運転免許証」 外国籍 「特別永住者証明書」又は「在留カード」 ※これらが提出できない場合「パスポート」+「住民票」※顔写真なしの本人確認資料の場合は、本人による認定機関登録申請のみとなります。 ■登録料金の払込受領書 ■建設キャリアアップ用顔写真 |
情報を証明するために必kあ要な書類 | ■通称名を希望する人の証明書類 「住民票」(写し) ■旧姓を希望する人の証明書類 「戸籍謄本」(写し) ■外国籍証明書類(写し) 「在留カード」「特別永住者証明書」「住民票※国籍、在留資格、在留期間の明記されているもの」のいずれか ■健康保険加入証明書類 ■年金加入証明書類 ■雇用保険加入証明書類 ■建退共加入証明書類 ■中小企業退職共済手帳(写し) ■労災保険特別加入等証明書類 ●主任技術者になるために必要な学歴を証明する書類 ●保有資格証明書類(写し) ●研修受講証明書類(写し) ●表彰証明書類(写し)など |
技能者登録料 | Ⓐ簡略登録型2,500円 Ⓑ詳細登録型4,900円 ⒶからⒷへの変更申請2,400円 |
カードの有効期間 | 10年 |
- 代行申請による事業者情報登録・技能者情報登録
上記の他、代行申請という方法もあります。
代行申請による事業者情報登録とは、事業者から代行申請を依頼された代行申請事業者(元請事業者・上位下請事業者、またはCCUS登録行政書士)が、依頼した事業者に代わ り(依頼した事業者の同意が必要)、システムへ事業者情報登録申請の手続きを行うことです。
代行申請による技能者者情報登録とは、技能者から代行申請を依頼された代行申請事業者(所属事業者・元請事業者・上位下請事業者、またはCCUS登録行政書士)が、技能者本人に代わ り(本人の同意が必要)、システムへ事業者情報登録申請の手続きを行うことです。
詳しくは、一財)建設業振興基金HP「建設キャリアアップシステム」に掲載された「代行申請」を参照してください。