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コラム

2021.11.28

建設業

経審/入札参加

Y点(経営状況)の評点アップ対策 

 現在のY点は、建設業のマーケットが縮小する現状のもとで、「規模の経営よりも質の経営」、「売上よりも利益」を重視し、無駄がなく身動きの早い会社の評点が高くなるよう設計されています。さらに、小規模零細業者の評価が実力以上に評価されないよう絶対額の指標も導入されています。従って、小手先の評点アップ対策には限界があり、結局は、地道な経営改善の努力が評点アップの近道ということになります。
 Y点は、負債抵抗力収益性・効率性財務健全性及び絶対的力量を評価できる8指標により算出されますが、中小企業が取り組みやすいうえ、Y点への寄与度が高く、また評点の分布巾が広い4つの指標に優先的に取組むことで、効率的かつ早期にY点を改善することが期待できると思われます。

1.Y点各指標の寄与度と評点分布

この表にあるとおり、【x1】純支払利息比率【x2】負債回転期間【x3】総資本売上総利益率【x6】自己資本比率の4つの指標だけで8割近くの評点が決まります。しかも、この4つの指標はY点の分布巾が広く、そのうえ中小企業でも取組みやすい指標と言えます。因みに、【x7】と【x8】のY点の分布巾も広いですが、絶対金額の指標であるため、中小企業にとっては高いハードルと言えそうです。

 

指標および算出式上限値~下限値(良い~悪い)寄与度Y点分布の巾
負債抵抗力【x1】純支払利息比率
(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
▲0.3%~5.1%29.9%
 
420.08
(23.33~▲396.75)
【x2】負債回転期間
(流動負債+固定負債)÷売上高÷12
0.9か月~18.0か月
11.4%145.33
(▲7.65~▲152.98)
収益性・効率性【x3】総資本売上総利益率
 売上総利益÷負債純資産合計(2期平均)×100
63.6%~6.5%21.4%252.19
(280.90~28.71)
【x4】売上高経常利益率
 経常利益÷売上高×100
5.1%~▲8.5%5.7%63.02
(23.63~▲39.39)
財務健全性【x5】自己資本対固定資産比率
 純資産合計÷固定資産合計×100
350.0%~▲76.5%6.8%78.49
(64.1~▲14.08)
【x6】自己資本比率
 純資産合計÷負債純資産合計×100
68.5%~▲68.6%14.6%204.13
(101.99~▲102.14)
絶対的力量【x7】営業キャッシュフロー
 営業キャッシュフロー(2期平均)÷1億円
15.0億円~▲10.0億円5.7%342.13
(205.28~▲136.85)
【x8】利益剰余金
 利益剰余金÷1億円
100億円~▲3億円4.4%296.36
(287.76~▲8.63)
※売上高の額は、審査対象事業年度における完成工事高と兼業事業売上高の合計の額になります。

4つの指標の評点アップ対策については、以下のもの(2~6)が考えられます。

なお、対策によっては、別の指標にマイナス効果をもたらすものがあります。自社にとってどのような対策が最善か、十分に検討しておくことが重要です。

2.【x1】純支払利息比率の評点アップ対策

「金利負担額を減らす」ことが対策の要(かなめ)です。(分子を小さくする)

  • 資産の処分・回収(定期預金の解約、遊休資産の売却、棚卸資産の適正化など)によって得られた資金で過剰な借入金を減らす。
  • 金利の安い公的資金等への借り換え
  • 増資(役員からの借入金の資本金への振替を含む)により調達した資金を借入金の返済にまわす。

3.【x2】負債回転期間の評点アップ対策

「流動負債と固定負債を減らす」ことが対策の要です。(分子を小さくする)

  • 資産の処分・回収(定期預金の解約、遊休資産の売却、棚卸資産の適正化など)によって得られた資金で負債を減らす。
  • 増資(役員からの借入金の資本金への振替を含む)により調達した資金で負債を減らす。

4.【x3】総資本売上総利益率の評点アップ対策

「売上総利益」を増やすこと(分子を大きくする)、もしくは、「負債」を減らすこと(分母を小さくする)が対策(可能であれば同時に)の要です。

  • 仕事を合理化し(無駄の削減)、売上原価を減少させる。
  • 安易な値引きや見積もりの積算ミスを防いだり施工管理(工程管理)を強化するなどして粗利(売上総利益)を増加させる。
  • 資産の処分・回収(定期預金の解約、遊休資産の売却、棚卸資産の適正化など)によって得られた資金で負債を減らす。

5.【x6】自己資本比率の評点アップ対策

「自己資本(純資産)」を増やすこと(分子を大きくする)、もしくは「負債」を減らすこと(分母を小さくする)が対策の要です。
なお、自己資本比率は建設業全体で35%と言われています。自己資本比率の目標を40%に定めて、取り組んでみたらいかがでしょうか。

  • 増資(役員からの借入金の資本金への振替を含む)をする。
  • 仕事を合理化し(無駄の削減)、売上原価を減少させることで、粗利(売上総利益)を増加させる。
  • 安易な値引きや見積もりの積算ミスを防いだり施工管理(工程管理)を強化するなどして粗利(売上総利益)を増加させる。
  • 節税よりも利益剰余金(内部留保)の蓄積に精力を注ぐ。
  • 資産の処分・回収(定期預金の解約、遊休資産の売却、棚卸資産の適正化など)によって得られた資金で負債を減らす。

 

経審の評点アップをお考えの場合は、当事務所にご相談ください!

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