建設業
法人設立/事業承継
建設業の許可を承継する制度について
投稿日 2022年10月27日 最終更新日 2022年10月27日
改正(令和2年10月1日施行)以前の建設業法では、建設業者が事業承継や相続を行なう場合、従前の建設業許可を廃業し、新たに建設業許可を取り直す必要がありました。そのため、従前の廃業から新たな許可が下りるまでの間は、建設業者としての地位で営業できない(軽微な工事しか営業できない)空白期間が生じていたほか、許可番号や営業年数がリセットされるという不利益が生じていました。
建設業法改正により、事業承継と相続に係る認可の制度が新設(第17条の2,第17条の3)され、一定の要件のもとで、承継者(相続人)が被承継者(被相続人)の受けていた建設業許可を承継することが可能になり、空白期間や許可番号・営業年数リセットの問題が解消されることになりました。
1.認可申請の区分
認可申請には、以下の区分があります。
- 譲渡及び譲受け認可申請
建設業者を含む複数の事業者間で、許可に係る建設業の全部譲渡が行なわれた場合
※個人→個人(代替わりを含む)、個人→法人(法人成りを含む)、法人→個人、法人→法人など
- 合併認可申請
建設業者を含む複数の事業者間で、既許可業者の消滅を伴う吸収合併又は新設合併が行なわれる場合 - 分割認可申請
建設業者が企業分割によって建設業部門を引き継ぐ新たな建設業者を新設(新設分割)する、もしくは複数の事業者間で建設業に関する事業が吸収分割により全部譲渡される場合 - 相続認可申請
建設業者である個人事業主が死亡後、その相続人が被相続人の営んでいた建設業の全部を引き続き営む場合
認可申請者は、事業承継(上記1~3)の場合は被承継者と承継者の連名、相続(上記4)の場合は相続人となります。(相続の場合、申請者は単独相続人又は相続人全員から同意を得ている相続人であることが必要です。)
2.認可の要件について
認可を受けるためには、以下の全てに該当することが必要です。
- 【事業承継】事業承継の効力発生日(承継予定日)前までに認可を受けること
承継予定日は、承継者及び被承継者の建設業許可の有効期限内であることが必要です。
【相続】被相続人死亡後30日以内に申請を行ない、その後、認可を受けること
申請時に被相続人の建設業許可の有効期限内であることが必要です。
- 被承継者(被相続人)の建設業の全部を承継すること
一部のみの承継は不可。承継しない業種は認可の前に廃業しておく必要があります。
- 被承継者(被相続人)と承継者(相続人)が同一業種について異なる区分の許可を受けていないこと
1つの業者が、同一の業種について一般建設業の許可と特定建設業の許可を受けることはできないので、被承継者と承継者が同じ業種の許可を受けている場合、一般・特定の区分が同じ時に限り許可の承継が可能となります。
- 承継後の全ての業種について、承継者(相続人)が許可の要件を満たしていること
承継予定日時点で許可要件を満たす見込みが必要です。
3.認可の効果について
- 承継者(相続人)は、当該承継の日に被承継者(被相続人)の建設業者としての地位を承継します。承継の日(効力発生日)は以下のとおりです。
譲渡及び譲受け・吸収合併・新設合併 | 契約書に記載された効力発生日 |
新設合併・新設分割 | 法人の設立日 |
相続 | 被相続人の死亡の日 |
- 被承継者の受けた法に基づく監督処分や経営事項審査の結果についても承継します。
- 許可番号が引き継がれます。
- 建設業許可が許可を有さない事業者(相続人)に承継される場合は、被承継者(被相続人)の許可番号が引き継がれます。
- 複数の建設業者間で承継が行われる場合は、被承継者(被相続人)と承継者(相続人)の許可番号のどちらかを選択することができます。(ただし、専任技術者は、選択した許可番号の専任技術者とする必要があります。)
- 許可の有効期限は、譲渡及び譲受け・合併・分割の場合は、承継の日の翌日から5年。相続の場合は、認可を受けた日の翌日から5年(大阪府の場合)となります。
4.大臣許可・知事許可の区分と認可行政庁について
被承継者(被相続人)が国土交通大臣の許可を受けているときは国土交通大臣、被承継者(被相続人)が都道府県知事の許可を受けているときは当該都道府県知事が認可行政庁になります。ただし、次のいずれかに該当する場合は、国土交通大臣の認可となります。
イ.承継者(相続人)が国土交通大臣の許可を受けているとき
ロ.承継者(相続人)が当該都道府県知事以外の都道府県知事の許可を受けているとき
5.認可申請の手続き(大阪府の場合)
大阪府建築部建築振興課『建設業認可の手引き(令和4年1月版)』より引用
①建設業許可グループに事前相談(事業承継の効力発生前の遅くとも2か月前を目途に)
②事業承継の効力発生日から30日前まで(45日を推奨)、相続の場合は被相続人死亡後30日以内。
(認可手数料は不要です)
③標準処理期間は、土日、祝日含む30日
④認可通知書の交付⑤承継日以降にも提出しなければならない書類があります。