建設業
周辺業務
建設発生土の搬出先の明確化とストックヤード運営事業者登録制度について
投稿日 2023年10月30日 最終更新日 2024年10月25日
2021年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受け、不法・危険盛土等の発生を防止するため、2023年5月に盛土規制法が施行されました。これとあわせ、建設現場から搬出される土の適正利用等を徹底する観点から資源有効利用促進法の省令も改正されました。これにより、2024年6月以降は元請建設業者は一定規模以上の工事(※1)を施工する場合、自ら最終搬出先(他の工事現場や残土処分場等)までの土砂受領書などをチェックし、発生土が適切に処理されたかどうかを確認しなければならなくなります。さらに、その搬出先が盛土規制法上の許可を得ているかについても確認する必要があります。
建設発生土をストックヤード(再び搬出することを目的に外部から搬出された土砂を一時的に堆積す る場所)へ搬出する場合もこれらの確認が必要です。しかし、ストックヤードに運び込まれた建設発生土は、他工事の発生土とまとめて最終処分場へ搬出されるケースがほとんどであるため、これらの確認は現実的ではありません。そこで創設されたのがストックヤード運営事業者登録制度です。この制度を利用すれば、元請建設業者による最終搬出先までの確認は不要となります。
※1.土砂500m3以上、砕石500t以上、加熱アスファルト混合物200t以上
1.建設工事から発生する土について
建設発生土とは
建設現場から発生した土のうち、廃棄物の混じった土から廃棄物を分別した土と廃棄物の混じっていない土を建設発生土といいます。
建設発生土は、資源有効利用促進法の政令で指定副産物に指定されており、再生資源としての利用が求められています。
(指定副産物については、コラム「建設廃棄物の種類について」を参照願います。)
2.建設発生土の計画制度と元請建設業者の責任
元請建設業者は、搬出する土砂の量が500m3以上の場合には、建設発生土の搬出量や搬出先(他の工事現場、残土処分場)を記載した再生資源利用促進計画書を作成し、5年間保存しなければなりません。(行政庁への提出は不要です。)さらに、計画作成後は発注者に対する説明や計画の現場掲示(インターネット公表の努力義務)も義務付けられています。
3.適正な搬出先への確実な搬出等
適正な搬出先への確実な搬出
再生資源利用計画書の作成対象工事を請負う元請建設業者は、計画書の作成に際し建設発生土の搬出先が盛土規制法の許可地であるか等を確認し、その結果を再生資源利用促進計画の添付資料(確認結果票)として現場掲示しなければなりません。さらに、 搬出先に対し受領書の交付を求め再生資源利用計画書とともに5年間保存する必要があります。
建設発生土が搬出先から更に他の搬出先へ搬出された場合には、上記と同様に最終搬出先まで確認した書面を作成し、5年間保存する必要があります。ただし、搬出先が以下の場合には確認書類は不要です。(最終搬出先までの確認義務は、2024年6月1日から)
- 国又は地方公共団体が管理する場所
- 他工事利用の場合であって当該建設工事の現場等
- ストックヤードのうち国土交通大臣の登録を受けた場所
※再生資源利用計画書の作成対象ではない工事(土砂の場合500m3未満の工事)については最終搬出先までの確認義務は生じません!
土壌汚染対策法への対応
一定の場合(当該土地で有害物質を使用していた等)には、元請建設業者は、発注者の土壌汚染対策法等の手続状況を確認し、その確認結果を上記とともに現場掲示しなければなりません。
4.ストックヤード運営事業者登録制度
盛土規制法の施行にあわせ、建設発生土の適正処理の観点で一定の要件を満たすストックヤード運営事業者を国に登録する制度が創設されました。(2023年6月1日から)
登録ストックヤードに搬出された建設発生土については、登録ストックヤード運営事業者がその後の適正な搬出を引き継ぐことになります。そのため、登録ストックヤードを利用した元請建設業者は最終搬出先までの確認を省略することができます。
ストックヤード運営事業者の登録の申請
- 申請先:主たる事務所を管轄する地方整備局等(電子メール等で申請)
- 登録の拒否要件:破産者、禁固刑を終え5年以内の者、不正又は不誠実な行為をするおそれのある者、暴力団等の関与がある者、登録取消し後5年以内の者や盛土規制法などの法令による是正命令等を受けている者
- 申請書類
☞国交省「ストックヤード運営事業者登録制度新規申請の手引き」より
種類 | 様式名 | 提出方法 |
①申請書兼変更届出書等 | 別記様式一号(1)(2) | 申請書ファイル(Excel) |
②誓約書 | 別記様式二号 | 申請書ファイル(Excel) |
③身分証明書 | ー | スキャンデータ等 |
④役員の住所等に関する調書 | 別記様式三号 | 役員等調書ファイル(Excel) |
⑤登記事項証明及び定款 | ー | スキャンデータ等 |
⑥法定代理人の登記事項証明 | ー | スキャンデータ等 |
⑦許可証等の写し | ー | スキャンデータ等 |
⑧土砂搬入搬出管理票(新規) | 別記様式四号 | 土砂搬入搬出管理票ファイル(Excel) |
※建設業法(第3条第1項の規定)の許可 、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第7条第1項若しくは第6項又は第14条第1項 若しくは第6項)の許可、 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(第21条第1項)の登録 、採石法(第33条又は第33条の5第1項)の認可、 砂利採取法(第16条又は第20条1項)の認可・・・これらを有している場合は③~⑥の添付の省略可
登録した業者の業務
- ストックヤードから土砂を搬出する場合、事前に搬出先が盛土規制法の許可地であるか等を確認した書面を作成、また、搬出後に搬出先に受領書の交付を求め搬出先を確認
- 上記の搬出先から更に他の搬出先へ搬出された場合(搬出先が以下の①②③の場合を除く)には、最終搬出先までの搬出先を確認した書面を作成
①国又は地方公共団体が管理する場所
②他工事利用の場合であって当該建設工事の現場等
③登録ストックヤード - ストックヤードの土砂の搬出入管理及び記録の保存を行い、事業年度ごとに管理状況年報を国に報告など
- ストックヤードに土砂が搬入された場合、搬入元に受領書を交付