建設業
コンプライアンス
主任技術者、監理技術者の設置が求められる工事とは?(全文書換え)

投稿日 2025年7月30日 最終更新日 2025年7月30日
建設業者は、建設工事の適正な施工を確保するため、実際に施工を行っている工事現場に一定の資格・経験を有する技術者を配置して施工状況の管理・監督を適正に行なわなければなりません。
現場に配置する技術者は主任技術者が原則ですが、建設工事の種類、請負金額、施工における立場(元請か下請けか)などの条件で監理技術者を配置しなければならない場合があります。
1.主任技術者と監理技術者
主任技術者
建設業者は、工事現場における工事の施工の技術上の管理をつかさどるものとして、主任技術者を置かなければなりません。主任技術者に必要な資格や実務経験については、一般建設業許可の営業所技術者と同じです。
監理技術者
発注者から直接建設工事を請け負つた建設業者(元請け)は、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の総額が5,000万円(建築工事業の場合は8,000万円)以上となる場合には、主任技術者に代えて監理技術者を置かなければなりません。(この場合は特定建設業の許可が必要です。)
監理技術者に必要な資格については、特定建設業の営業所技術者の資格を有するもので、国土交通大臣から「監理技術者資格者証」の交付を受け、同大臣の登録を受けた講習を受講した者のうちから選任することになっています。なお、資格者証の有効期限は5年で、更新することができます。
2.主任技術者・監理技術者に「専任」が求められる工事
一定の公共性のある施設等又は多数のものが利用する施設等に関する重要な施設工事については、工事現場ごとに専任のものを配置する必要があります。この重要な施設工事とは、個人住宅以外のほとんどの工事が該当し、工事1件の請負代金の額が4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上のものとされています。なお、ここでいう「専任」とは、他の工事現場の職務を兼務をせず、常時継続的に当該工事現場の職務のみに従事することを意味するものであり、必ずしも当該工事現場への常駐を必要としていません。
◆主任技術者・監理技術者の専任義務の緩和について
建設業法及び建設業法施行令の改正に伴い、上記の専任義務は下記のとおり緩和されています。
専任特例1号による専任義務緩和(R7.1.1~)
各建設工事の請負代金の額が1億円未満(建築工事業の場合は2億円未満)かつ法令規則で定める要件(※1)を満たす場合、2件の工事現場を兼任することができます。
専任特例2号による専任義務緩和 (R2.10.1~)
各工事現場ごとに監理技術者補佐を専任で置くことを要件とし、2件の工事現場を兼任することができます。
営業所技術者等の専任義務緩和(R7.1.1~)
建設工事の請負代金の額が1億円未満(建築工事の場合は2億円未満)かつ法令
規則で定める要件(※1)を満たす場合、営業所技術者等が1件の工事現場を兼任することができます。
※1.詳しくは弊所ブログ「現場技術者の専任合理化について」をご覧ください。
3.建設工事の種類及び請負金額等による区分
監理技術者の配置が求められる建設工事の種類・請負金額・下請金額等を整理すると以下のようになります。(2025.2.1現在)

4.主任技術者・監理技術者に求められる雇用関係
建設工事の適正な施工を確保するため、主任技術者や監理技術者は所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要です。行政庁がこの雇用関係を確認する場合は、事業者名の記載されている健康保険被保険者証、雇用保険被保険者資格取得確認等通知書、監理技術者にあっては監理技術者証、その他公的機関の発行した書類などが求められることになります。
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