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コラム

2026.07.01

建設業

許可

建設業許可を取得している個人の法人成り(会社化)の進め方

投稿日 2026年7月1日 最終更新日 2026年7月1日

 個人(個人事業主)として建設業の許可を取得したあと、事業が拡大し所得が一定の水準以上になってくると、法人成り(会社化)が視野に入ってきます。
 一昔前までは、個人の許可業者が法人成りする場合、個人の建設業許可を廃業し、新たに法人の許可を取得し直す必要がありました。そのため、新しい許可が下りるまでの間は、建設業者としての地位で営業できない(軽微な工事しか営業できない)空白期間が生じていたほか、許可番号や営業年数がリセットされるという不利益が生じていました。しかし、令和2年10月に建設業法が改正され、行政庁から(承継の)認可を受けることにより、一定の要件のもとで、従前の許可を引き継ぐことができるようになりました(行政庁の手数料も不要です)。
 ☞弊所プログ「建設業の許可を承継する制度について」参照
 注意したいのは、この制度を利用するためには、事前に許可行政庁へ相談に行かなければならないという点です。そして、事前相談で確認したスケジュールにもとづいて手続きを進めていく必要があります。

1.認可申請の区分

 法人成りの場合の認可申請の区分は、建設業法第17条の2第1項の「譲渡及び譲受け認可申請」となります。この申請をする場合は、個人を譲渡人、法人を譲受人とする事業譲渡契約書を作成・締結するとともに、法人の株主総会議事録(事業を個人から承継する旨の意思決定が確認できる書類としてを作成しておきます。

2.譲渡及び譲受け認可申請の場合の認可の要件

 法人成りの場合の認可の要件は下記のとおりです。

  1. 事業譲渡の効力発生日(事業譲渡契約書に記載された譲渡日。以下、事業譲渡日とします。)前までに認可を受けること
  • 事業譲渡日は、譲渡人の建設業許可の有効期限内であることが必要です。
  1. 譲渡人の建設業の全部を譲渡すること
  • 譲渡人の建設業許可業種の一部のみの譲渡は不可。承継しない業種は認可の前に廃業しておく必要があります。
  1. 譲渡人と譲受人が同一業種について異なる区分の許可を受けていないこと
  • 譲受人が建設業の許可業者であった場合の要件です。このケースでは、譲受人は新設法人なので、ここではスルーします。
  1. 事業譲渡後の全ての業種について、譲受人が許可の要件を満たしていること
  • 事業譲渡の予定日時点で許可要件を満たす見込みが必要です。

3.認可申請特有の注意点

 譲渡及び譲受け認可申請にあたっては、以下の点に注意してください。

  • 認可申請の様式の内容は、通常の許可申請とほぼ同じですが、様式番号や細部が異なるので流用はできません。確認資料等については、原則すべて承継者(譲受人)に関するもののみが必要となります。
  • 譲渡人と譲受人の連名での申請となります。(認可通知書も譲渡人と譲受人のそれぞれに対し交付されます。)
  • 譲受人は、事業譲渡日時点で常勤役員等(経管)や営業所技術者などの許可要件を満たす見込みが必要です。譲渡人についても事業譲渡の予定日の前日までは許可要件を継続させておく必要があります。
  • 事業譲渡日以降でないと準備できない許可要件の確認書類については、「誓約書(健康保険等の加入状況及びその確認資料の提出に関する誓約書)」を認可申請時に提出したうえで、事業譲渡日から2週間以内に提出します。常勤役員等や営業所技術者の常勤性確認書類についても同様です。
  • 認可申請日時点で、譲渡人の届出事項に変更がある場合は、認可申請の前に届出を済ませておきます。決算変更届も同様です。申請中(認可申請の受付から事業譲渡日までの間)に変更がある場合も同様。
  • 認可申請書の提出後、後日差し替えとなる可能性のある様式
    「常勤役員等の略歴書」「健康保険等の加入状況」「営業の沿革」「営業所概要書」「財産目録(※1)」など 
    ※上記書類は、認可申請時にも提出しますが、申請時点で不明な健康保険番号などは「空欄」に、申請時点で期日未到来の記述には括弧書きで「予定」と記しておきます。
  • 社会保険(健康保険、年金保険)は、全ての役員・従業員について、事業譲渡日を資格取得日とする「新規適用届」を年金事務所へ提出するよう社労士にお願いしてください。また、雇用保険についても事業譲渡日を設置年月日とする「新規適用届」または「変更届」をハローワークに提出するようにお願いしてください(事業譲渡契約書の写しも社労士に渡すようにしてください)。

4.認可申請のスケジュール(大阪府の場合)

  • 事前相談の予約(事業譲渡日の2か月前を目途に)
  • 認可申請書の提出(事業譲渡日の45日前までを目途に)
  • 認可通知書の交付(認可申請書を交付した日から土日、祝日を含み30日後)
  • 健康保険等の加入状況の確認書類(事業譲渡日から2週間以内に提出)

5.事業譲渡契約書と株主総会議事録について

 事業譲渡契約書には、以下の条項を入れておきます。(以下は、あくまでも参考です。行政庁との事前相談時に十分すり合わせをしてください。)

  • 事業譲渡日(事業譲渡の効力発生日)
    事業譲渡契約の締結日に直ちに譲渡及び譲受けの効力を発生させるのではなく、契約締結日以降で、かつ、認可申請書の提出予定日の45日後を目途に定めること
  • 譲渡財産
    譲渡人の建設業の営業に係る資産・負債について(※1)財産目録を作成し事業譲渡契約書に添付する。譲渡財産に事業譲渡日以前の事業活動により発生した売掛金、買掛金、前受金などの流動資産・負債を含めるかどうか明確にしておく。なお、建設機械など高額なものは、譲渡ではなく賃借とする場合もありうると考えます。
  • 事業譲渡の対価
    税理士とよく相談して決定する。(無償であっても差し支えないと思われます。)
  • 従業員の取扱い
    従業員の引継ぎは事業譲渡日とする。
  • 株主総会の承認
    この事業譲渡契約書の締結及び履行については株主総会の承認を得る旨記載する。なお、あわせて、「〇〇建設の建設業を譲受する件」について、株主総会を開催し議事録を作成しておく
  • 収入印紙
    事業譲渡契約書は、印紙税額の一覧表の営業の譲渡に関する契約書(第1号文書)に該当します。事業譲渡の対価が無償の場合も200円かかりますので注意してください。

5.全体スケジュール

 本年、弊所で受任した案件での実際の日程です。法人登記に2週間以上かかる場合もあるので、もっと余裕をもってスケジューリングした方が良いかもしれません。

項目日程備考
クライアントからの相談2/4
大阪府と事前相談(大阪府庁)2/13提示資料:定款(案)、事業譲渡契約書(案)、スケジュール表
定款認証(公証役場)2/20
法人設立登記の申請2/27司法書士に依頼
法人の登記完了3/3登記完了後、税務署・府税事務所・市への届出(税理士に依頼)
臨時株主総会事業譲渡契約書締結3/7建設業の譲受け及び役員報酬の決定株主総会議事録作成
個人事業の決算変更届(大阪府庁)3/11
認可申請(大阪府庁)3/16
認可通知書4/17通知書の受取りは大阪府庁にて(4/23)
大阪府庁と打合せ(大阪府庁)4/23追加提出書類の打合せ
事業譲渡日5/1
社会保険等加入手続き5月初旬社労士に依頼
書類の追加提出5/20レターパックにて

 法人設立、建設業許可取得、産業廃棄物収集運搬業許可取得をお考えの場合は、当事務所にご相談ください!

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