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コラム

2025.01.29

建設業

周辺業務

工事現場に残った廃家電の取扱いについて(家電リサイクル法・廃棄物処理法など)

投稿日 2025年1月29日 最終更新日 2025年1月30日

 「解体工事や内装工事の際に建物内に残された廃家電」「家電機器設置工事の際に不要となった廃家電」などの取扱いには悩ましいものがあります。とりわけ、家庭用エアコンなど家電4製品(※1)については、家電リサイクル法の特定家庭用機器として、ルールに則った再生利用(リサイクル)が求められているからです。
 また、「引き取った廃家電の処分場までの運搬」についても廃棄物処理法のルールに従う必要があります。その他、電気工事業法フロン排出抑制法(業務用エアコンの場合)などの法令も見落とせません。
 不要となった家電を中古品として買い取り再使用(リユース)する場合には、古物営業法にもとづく許可が(修理して再販する場合は電気用品安全法上の届出も)必要になります。
 ここでは、廃家電を法令上問題なく処分するための諸条件について家電リサイクル法を中心に見ていきます。

※1.特定家庭用機器とは、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4つの家電(家電4製品)のことをいいます。

1.家電リサイクル法とは

  • 家電リサイクル法とは

一般家庭や事業所から排出された特定家庭用機器から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律です。

【家電リサイクル法のしくみ】

⼩売業者(※2)には、消費者(排出者)から特定家庭用機器を引き取り製造業者等(指定引取場所)まで運搬して製造業者等に引き渡す義務があります。
製造業者等は、指定引取場所に持ち込まれた特定家庭用機器の再生利用(リサイクル)等に必要な行為を実施しなければなりません。
消費者(排出者)は、⼩売業者の収集・運搬料⾦と、製造業者等のリサイクル料⾦を負担します。

 

 特定家庭用機器は、家庭用機器であれば、事業所で使用されているものも家電リサイクル法の対象となります。(☞事業所で使⽤している家電4品⽬は、家電リサイクル法の対象です︕経済産業省・環境省

 一方、業務用機器であれば、家庭で使用されているものであっても家電リサイクル法の対象とはなりません。(☞対象廃棄物(家電4品目)一覧 家電リサイクルセンター

 ただし、業務用エアコンの場合はフロン排出抑制法の規制を受けるので注意が必要です(家庭用エアコンは規制対象外)。(☞フロン排出抑制法の改正(2020年4月1日施行)により業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器を廃棄する際の規制が強化されました。経済産業省・環境省

※2.家電リサイクル法上の「小売業者」とは、特定家庭用機器の小売販売を業として行う者をいいます。いわゆる家電販売店等、店頭での販売や新品の販売に限られず、インターネット販売・通信販売、また、リユース(再使用)品を販売する古物営業や質屋営業も含まれます

  • 小売業者の義務

 小売業者は、消費者(排出者)から「自らが過去に販売した廃家電の引取りを求められたとき」「 買換えの際に同種の廃家電の引取りを求められたとき」は、正当な理由がある場合を除き廃家電を引き取らなければなりません(排出者からの引取義務)。

 小売業者は、引取義務の対象でない廃家電(購入者ではない者から引取りの希望があった場合など=いわゆる義務外品)についても引き取ることができます。その場合であっても、製造業者等への引渡義務は生じます。

【廃家電の引取りパターン】

小売業者が廃家電の引取りをする場合のパターンとして、
A   排出者から買い取る場合(有償引取)(※3) 
B   排出者から無料引取(無償引取=いわゆる下取り
C   排出者からリサイクル料金と運搬料金(運搬料金無償の場合も含む)を受領して引取(逆有償引取
以上3つのパターンがありますが、Cのパターンが最も一般的です。

※3.中古品として有償で買取(有償引取)をする場合は、古物商の許可が必要です。

ただし、小売業者が、

自ら製品としてリユース(再使用)する場合 

当該廃家電を製品としてリユースする者(消費者など)に有償又は無償で譲渡する場合(※4、5) 

当該廃家電を製品としてリユース販売する者(リユース業者など)に有償又は無償で譲渡する場合(※4、5)などは、

 製造業者等への引渡し義務はありません

※4.製品としてのリユースであり、部品リユース(部品取り)は含まれません。

5.修理を行い、電気用品安全法上の製造に該当する場合は、同法に基づく製造事業届出、その他の手続き(技術基準適合義務、適合性検査、自主検査、表示等)が必要です。

 このほか、小売業者には
収集運搬料金の公表・応答(リサイクル料金を含む)義務
管理票(家電リサイクル券)の交付・管理・保管等義務     があります。

2.廃家電の収集運搬(家電リサイクル法の特例)

 本来は、家庭から出る廃家電は一般廃棄物であり、事業所から出る廃家電は産業廃棄物であることから、それぞれ一般廃棄物収集運搬業、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となるところ、家電リサイクル法の特例規定により、

小売業者自らが収集運搬を実施する場合は、許可は不要です。
小売業者の委託を受けて収集運搬する許可業者については、どちらか(一般・産業)の許可のみで廃家電の収集運搬をすることができます。(ただし、収集運搬できる地域は許可の範囲のみとなります。)
  • 廃エアコンの撤去作業を行う場合の留意点

 小売業者自ら回収する場合のみならず、配送業者(工事業者)に委託する場合も、当該業者に対しフロン類の漏洩防止のためポンプダウン(冷媒ガスの閉じ込め)作業の徹底を指導する必要があります。

 エアコンを取り外す作業は、必ずしも電気工事士が行う必要はありませんが、業として撤去工事をするときには電気工事業の登録が必要となります。

 3.建築物の解体時に建物所有者が残置した家電について

 建築物の解体時に発注者(当該建築物の所有者等)が残置した廃棄物(残置物)は、建築物の解体に伴い⽣じた廃棄物(建設廃棄物)とは異なり、その処理責任は発注者にあります。そのため、発注者に対し、残置物をあらかじめ撤去するよう依頼しなければなりません。

 ただし、残置物が事業所から排出された特定家庭用機器(家電4品目)の場合は、当該残置物が産業廃棄物となるので、産業廃棄物収集運搬業の許可業者であれば発注者の委託を受けて収集運搬することは可能です。(当然のことですが、家電リサイクル法に則した適正処理をする必要があります。)

 一方、残置物が一般家庭から排出された特定家庭用機器(家電4品目)の場合は、一般廃棄物となるので、発注者からの委託を受けても、一般廃棄物収集運搬業の許可業者以外は収集運搬をすることはできません。(小売業者からの委託を受けた場合はこの限りではありません。)

解体⼯事業者の皆様へ 家電4品⽬は「正しく」リサイクルしてください 経済産業省・環境省

【参考】

家電リサイクル法における小売業者の義務等について 経済産業省・環境省

リユース業界を取り巻く環境関連法の法的環境の整理

産業廃棄物収集運搬業許可、古物商許可の取得をお考えの場合は、弊所にご相談ください!

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