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コラム

2021.09.20

建設業

事業領域拡大

建築士事務所の登録について

投稿日 2021年9月20日 最終更新日 2022年9月23日

 建設工事は、公共工事も含め、設計・施工・監理各業務の分離発注方式が基本形です。分離発注方式の場合は、建築士事務所が設計図書を作成し、その設計図書をもとに複数の建設業者から見積もりをとって施工業者を選定します。工事期間中は、建築士事務所が発注者の立場に立って設計図書のとおり建築されているかをチェックする仕事(工事監理業務)を請負います。
 工務店など建設業者が、建築士事務所の登録を受けて営業している場面をよく見かけます。小規模工事の場合は、発注者が直接建設業者に設計と施工を一体のものとして依頼することが多いためです。この場合、工事を受注した建設業者は、建設工事のみを自ら請負い、設計と工事監理業務については提携先の建築士事務所に任せ、それぞれの業務を分離して請負うこともありますが、建設業者が自社の内部に設計部門を持っていれば、設計と施工を一括して(設計施工一貫方式)請負うことが可能となります。これができれば、責任体制も一元化され、自ら工事全体をコントロールできるメリットを享受できます。さらに、販路を拡大し会社を成長に導くことにもつながります。
 もちろん、この場合は、(発注者の求めに応じ報酬を得て設計業務を行なうことになるので、)建築士事務所の登録が必要です。

1.建築士事務所の登録が必要な業務とは

 建築士又はこれらを使用する者は、他人の求めに応じ報酬を得て「設計等」を業として行おうとするときは、一級建築士事務所、二 級建築士事務所又は木造建築士事務所を定めて、その建築士事務所について、都道府県知事の登録*¹を受けなければなりません。
ここでいう「設計等」とは、次の業務を言います。

設計等(建築士事務所の登録が必要な業務)

①建築物の設計、②建築物の工事監理、③建築工事契約に関する事務、④建築工事の指導監督、⑤建築物に関する調査または鑑定、⑥建築に関する法令または条例に基づく手続きの代理 

*¹ 大阪府の場合の受付場所;(一社)大阪府建築士事務所協会【登録グループ】

2.建築士事務所登録の要件

 登録の要件は以下のとおりです。なお、登録の有効期間は5年間です。

  • 建築士事務所を設置すること
    法人等で事務所を支店、営業所等を設け、そこにおいて設計等の業務を行う場合には、 それぞれ建築士事務所の登録を受けなければなりません。登録は、建築士事務所の所在地の都道府県知事ごとになります。
  • 登録する事務所に、事務所を管理する専任の建築士(管理建築士)を置くこと
    管理建築士となるためには、建築士として3年以上の設計等の業務に従事した後、登録講習機関が行なう管理建築士講習を修了した建築士でなければなりません。専任とは、事務所に常勤し、専ら管理建築士の職務を行う必要があります。 従って、雇用契約等により、事業主体と継続的な関係を有し、休業日を除いて 通常の勤務時間中は、その事務所に勤務していなければなりません。
  • 申請者が、建築士法第23条の4(登録の拒否)に該当しないこと
    破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、登録を取消されてから5年を経過しない者、暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者、登録申請書に重要な事項について虚偽の記載があった者など。
  • 定款(及び商業登記簿謄本の)事業目的に「建築物の設計・工事監理」などが記載されていること
  • 事務所の名称の前後どちらかに「一級(二級・木造)建築士事務所」が入っていること

3.申請(新規)に必要な書類(大阪府の場合)

書類の名称
1-1登録申請書 表紙(扉)
1-2付近見取図
2-1-1
2-1-2
2-1-3


登録申請書(第五号書式(第一面))
(第二面)所属建築士名簿
(第三面)役員名簿
4(イ)業務概要書【新規は該当なしと記入】
5-1(ロ)略歴書
5-2(ロ)略歴書(登録申請者が管理建築士を兼任の場合は不要)
6(ハ)誓約書
7定款(現行の定款)※事業目的に業務内容の記述が必要
8法人登記事項証明書 (新規登録の場合は現在事項証明書)
9管理建築士の建築士免許証(賞状型又はカード型)の写し
10管理建築士講習修了証の写し
12委任状(代理申請の場合)【社員の場合は不要】
持参【持参書類】※公的書類等については3ヵ月以内に発行のもの。

1.管理建築士の要件(本人と資格)を確認するための管理建築士の建築士免許証(賞状型原本)又は建築士免許証明書(カード型原本)及び 管理建築士講習修了証(原本)

2..管理建築士の専任状況を確認するための3点書類
 【代表者が兼任の場合は不要】=登録申請者又は代表取締役
(1)住民票(原本) (単身赴任等の場合は、直近3ヶ月以内の公共料金の領収書、又は郵便局の消印のある郵便物で、氏名と居住地の確認ができるもの。
(2)賃金台帳又は源泉徴収簿(直近3ヶ月)※社名の入ったもの。【給与明細・源泉徴収票は不可】 新規雇用の場合は雇用契約書(原本)
(3)健康保険証等(事業所名記載のもの)又は雇用保険被保険者証・雇用保険資格取得等確認通知書のいずれか。新規雇用の場合は、社会保険の資格取得届の控え。
※出向社員は、3者出向協定書又は2者出向協定書と辞令が必要。

3.開設事務所の所在と使用目的の確認書類 【(1)~(3)のうちの該当書類】
(1)自己(申請者)所有の場合 ≪次の書類のうち1点≫  
①建物の登記簿謄本(原本)②固定資産(建物)評価証明書(原本)③家屋売買契約書又は権利書
(2)賃貸等の場合 ≪持ち主と借主である申請者名義との契約書≫
①賃貸契約書(公営・公団住宅は、当該法律により事務所として認められません)②使用目的が住宅と特約の場合、事務所としての使用承諾書が別途必要。
(3)持ち主と賃貸契約を交わしていない場合 ≪次の2点書類≫
①持ち主の事務所としての使用承諾書(原本)②持ち主の所有を証明する、前記(1)の自己所有の書類のうち1点。 

     ●: 必要な提出書類       △: 場合により必要な書類 
     ★: 法人の場合に必要な書類  〇: 提示のみ必要な書類 


4.開設者の義務

 建築士事務所の開設者には、建築士法で次のことが定められています。

  • 設計等の業務に関する報告書
    開設者は、毎事業年度終了後3月以内に都道府県知事に対し①~⑥を記載した報告書を提出しなければなりません。
    ①事務所の業務の実績 ②所属建築士名簿 ③所属建築士の業務の実績 ④管理建築士によ る意見の概要 
  • 一括再委託の禁止
    新築工事で、延べ面積300㎡を超える建築物について、設計業務や工事監理業務を下請けの設計事務所に丸投げすることは建築士法で禁止されています。
  • 帳簿及び図書の保存
    建築士事務所の開設者は、その業務に関する帳簿や建築士が作成した設計図書等を15年間保存しなければなりません。
  • 標識の掲示
    開設者は、建築士事務所において、公衆の見やすい場所に、建築士事務所の名称・登録 番号・開設者名・管理建築士名、登録の有効期間等を記載した、縦 25cm 以上、横 40cm 以上の標識を掲げなければなりません。
  • 書類の閲覧
    開設者は、当該建築士事務所が行った業務の実績、所属建築士の氏名及び業務の実績、その他国土交通省令で定める事項を記載した書類を作成し、3年間事務所に据え置き、設計等を委託しようとする建築主(建築主になろうとする者を含む)の求めに応じ、閲覧させなければなりません。
  • 設計・工事監理契約の際の重要事項説明
    開設者は、設計又は工事監理の契約を締結しようとするときは、建築士法の規定によりあらかじめ建築主に対し、管理建築士又は所属建築士 をして、設計委託契約又は工事監理委託契約の内容及びその履行に関する事項を記載した書面を 交付して説明させなければなりません。
  • 設計等の契約の原則
    契約の当事者間においては、対等な立場での公正な契約締結及び誠実な履行が求められます。 
  • 書面による契約締結の義務
    延べ面積が300㎡を超える建築物の設計又は工事監理について、書面による契約締結が義務 づけられました。(法定記載事項が13項目あります。)契約締結に際して、必要事項を記載した書面に署名又は記名押印して相互に交付することが必要です。
  • 書面の交付
    開設者は、設計受託契約又は工事監理受託契約を締結したときは、建築士法及び同施行規則で定める事項を記載した書面を当該委託者に交付しなければなり ません。
  •  管理建築士が述べる意見の尊重義務
  • 設計等の業務に係る損害賠償保険の契約締結等の努力義務
  • 報告及び立入検査への協力

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