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コラム

2023.08.17

建設業

コンプライアンス

道路占用許可と道路使用許可について

 建設工事によっては、足場が道路にはみ出したり、高所作業車やクレーン車を道路に止めて作業をせざるを得ない場面があります。また、道路上空に広告看板を設置する工事や道路の地下のガス管や水道管などを工事する場合もあります。このように道路を使用、占用する場合は、そのほとんどで警察署と道路管理者(役所)のそれぞれに対し道路使用許可と道路占用許可の申請する必要がありますが、道路占用許可が不要となるケースもあります。道路使用許可と道路占用許可とでは、根拠とする法律が違い、その目的や道路の定義自体も異なるためです。

1.道路法上の許可(道路占用許可)が必要な場合

道路法上の道路とは

 一般交通の用に供する道で、①高速自動車国道 ②一般国道 ③都道府県道 ④市町村道※1)をいいます。ここには、私道・公園内の道路・里道(※2)などは含まれません。

※1 ①②は政令でその路線を指定したもの。③④は都道府県知事や市町村長が認定したもの(道路法上の道路の95%を占めます)です。認定を受けると例え土地所有者であっても道路法により私権を制限されます。

※2 里道(りどう)とは、登記上私権が設定されていない公共物をいい、公図上赤色で着色されていることから赤線(あかせん)ともいいます。里道を占用する場合は、「法定外公共物占用許可申請」(市町村長宛て)が必要です。

道路占用許可が必要な場合

 道路に一定の工作物、物件又は施設を設け、道路の空間を独占的・継続的に使用することを「占用」といいます。この道路の占用は地上に施設を設置する場合だけでなく、電気・電話・ガス・上下水道などの管路を道路の地下に埋設する場合や、道路の上空に看板を突き出して設置する場合なども含まれます。道路を占用しようとする者は、あらかじめ道路管理者の許可を受けなければなりません。

占用許可の対象 

 道路を占用することができる物件等は、法令で決められており、例えば自動販売機、置き看板、のぼり旗の設置は原則として認められていません。(道路法32条第1項)

1号物件電柱、電線、変圧塔、郵便ポスト、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物
2号物件水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件
3号物件鉄道、軌道その他これらに類する施設
4号物件歩廊、雪よけその他これらに類する施設
5号物件地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設
6号物件露店、商品置場その他これらに類する施設
7号物件道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令(道路法施行令第7条)で定めるもの(下記参照)
① 看板、標識、旗ざお、パーキングメーター、幕、アーチ
② 太陽光発電設備、風力発電設備
③ 津波避難施設
④ 工事用板囲、足場(※3)、詰所など
⑤ 土石、竹木、瓦、工事用材料など
⑥ 耐火建築物を建築する期間中必要となる仮設建築物
⑦ 都市再開発法に基づく施設のうち一時的に必要となる施設
⑧ 食事施設(オープンカフェ)、購買施設など
⑨ トンネルの上又は高架下に設ける店舗、倉庫、駐車場、広場など
⑩ 都市計画法に基づく高度地区内の道路の上空に設ける店舗、倉庫など
⑪ 応急仮設住宅など
⑫ 自転車、原付、二輪車を駐車させるために必要な車輪止め装置など
⑬ 高速自動車国道等に設ける休憩所、給油所及び自動車修理所
※3.足場の高さ10m以上で組立から解体まで60日以上の場合には、設置工事の30日前までに労働基準監督署長に届出(機械等設置届)をする必要があります。(労働安全衛生法)

許可の基準

 道路の占用許可を行う際は、公共性の原則※1)、計画性の原則※2)及び安全性の原則※3)を考慮するとともに、

 物件が、道路法第32条第1項各号のいずれかに該当するものであること(上記の表参照)。

 道路の敷地外に余地がないためにやむを得ないものであること。

 占用の期間、場所、物件の構造等について、政令で定める基準に適合するものであること。

  ⓵~③の全ての要件を充足していることが必要です。

※1 公共性の原則:特定人の営利目的のための公共性のない占用は原則として認めるべきではなく、公共性の高いものを優先させるべきである(例:高架下の利用について、個人商店よりも公共駐車場や広場の占用を優先)。

※2 計画性の原則:将来の道路計画や都市計画その他道路周辺の土地利用計画と調整されたものでなければならない。

※3 安全性の原則:施行令に規定されていない事項についても、道路の構造の保全及び安全かつ円滑な交通の確保の面から、交通の安全を阻害する占用は現に排除すべきである(例:道路に大きく突き出した看板や日よけ、道路標識や規制標識に似たデザインの看板などの占用は認められない。)。

専用物件の維持管理

 占用物件に起因して道路の構造や交通に支障が生じることを防止するため、道路占用者は占用物件を適正に維持管理しなければなりません。

占用料

 道路を占有するには道路管理者に占用料を支払う必要があります。

 ☞道路占有料の額(R5.4~)国土交通省

道路占用許可手続き

(1)国が管理する道路(オンライン申請可) 

 ☞国土交通省「道路占有許可手続き」

(2)道路管理者が都道府県および市町村の場合

 ☞各自治体のホームページを参照してください。

 ※(参考)高槻市の場合 

提出書類(2部)道路占用許可(道路法第32条)申請​書誓約書(別記様式) 
※給排水の引込み等の申請の場合は不要添付書類位置図平面図断面図構造図交通対策図現況写真(工事予定場所の現況写真)
道路占用料減免申請書(占用料が減免または免除できる場合、提出が必要)
道路占用工事完了届
手数料1,000円
審査期間通常2週間

   ☞道路占用申請 – 高槻市ホームページ (city.takatsuki.osaka.jp)

 道路占用申請が必要な場合は、ほとんどのケースで道路使用許可が必要になりますので注意が必要です。

2.道路交通法上の許可(道路使用許可)が必要な場合

道路交通法上の道路とは

 ⓵道路法上の道路 ②道路運送法第二条第八項に規定する自動車道※1) ③一般交通の用に供するその他の場所※2)をいいます。

※1 専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で①以外のものをいいます。民間の自動車専用道路で料金を支払えば誰でも通行できる「一般自動車道」と、バス会社等が自社の車両専用に設置した「専用自動車道」があります。

※2 ①②以外で不特定の人や車が自由に通行することができる場所をいいます。(不特定人の自由な通行が認められている私道、空地、広場、公園内の道路、里道等)

道路使用許可が必要な行為

 道路の本来の目的は人や車の通行であり、これを妨害し又は危険を生じさせるおそれがある行為は禁止されています。ただし、道路工事や祭事など公益上又は社会慣習上本来の目的以外の道路使用がやむを得ないとされるものについては、警察署長により、一定の要件のもとでその禁止が解除され使用が許可されます。

道路使用許可が必要な行為

1号許可道路において工事もしくは作業をしようとする行為
2号許可道路に石碑、広告板、アーチ等の工作物を設けようとする行為
3号許可場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出そうとする行為
4号許可道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為※具体的な行為については、各都道府県道路交通規則に定められています。

許可の基準

警察署長は、①から③のいずれかに該当する場合は許可をしなければなりません。

① 現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき

② 許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき

③ 現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会慣習上やむを得ないものであると認められるとき

道路使用許可手続き

 各都道府県警察のホームページを参照してください。
なお、道路使用許可の申請者は、道路交通法77条第1項に定められています。道路において工事をする場合の申請者は、作業者(請負人)です。

※(参考)大阪府警の場合

提出書類(2部)道路使用許可申請書必要書類道路を使用する場所及び付近の見取図安全対策状況図 設置する物件の仕様書  など
手数料工事及び作業については2,500円、その他2,000円
審査期間原則として7日間(行政庁の休日を除く )

☞ 大阪府警ホームページ 道路交通法等にもとづく各種申請及び届出様式

 

3.承認工事(道路法24条の工事)とは

 道路管理者以外の者が、敷地への出入りの際に支障となるなど、やむを得ない事情により切り下げ工事(※1)やガードレール・縁石などを自らの費用負担で撤去する工事です。この場合、道路管理者に対して道路工事施工承認申請を行なう必要があります。なお、工事によって道路に設けた施設は、道路管理者のものとなります。

  • 承認工事の例

道路から民地への乗入れ工事、法面埋立工事、ガードレールの撤去工事、カーブミラー・街路樹などの移設工事、現道への取付工事、排水路の取付工事、傷んだ舗装の補修・復旧工事など

※1)切り下げ工事とは、車庫への車の出入りなどをスムーズにするため歩道や縁石の段差を低くする工事。

承認工事については、こちらのコラム「承認工事(道路法24条の工事)とは」もご覧ください。

道路占用許可申請や道路使用許可の手続きは、弊所にお任せください!

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